2022年チェキまとめ②~魂(ソウル)推しメン編~

2022年振り返りチェキ第二部、魂推しメン編です。

第一部はこちら

daradarachang.hatenablog.com

 

---

 

「今日楽しかった?」

だいたい彼女との特典会で出てくる発言はこれだったように記憶している。

 

2022年11月にフィロソフィーのダンスを卒業した十束おとはさんのことだ。

そして彼女は自分にとっての魂(ソウル)推しメンだった。

 

話は2017年頃まで遡る、声優オタクだった僕は、声優オタクに限界を感じ、周囲のオタクに誘われてアイドル現場というものを知った。

虚無のような声優トークショーやそれに参加するために高いBDを何枚も積まされることに限界を感じていた僕たちはアイドル現場のコスパ*1の良さにあっという間に惹かれていった。

実際、アイドルと言えばAKBみたいに揃いの衣装で青春の甘酸っぱさとか淡い恋心みたいなものを歌うだと思っていたが、自分が誘われたところはそうではなかった。

 

最初に誘われたアイドルグープHはシンプルに曲が格好良く、客席もモッシュやらリフトやらで盛り上がる。アイドルという世界の認識を大きく覆された。

が、最初に知人がはまっていたアイドルグループHはそれこそ悲惨としか言い様がない終わり方をした。人気メンバーの度重なる素行不良(サボりと思われる)による解雇と事務所によるスワップ訴訟の匂わせ、そしてメンバー間でのTwitterでのお気持ち表明大会による言い争い...*2

 

グループHの終わり方を見た僕は、アイドルって曲だけを好きになっていれば良くてメンバーのことを好きにになったらお仕舞いだなという妙な逆説を感じていた。*3

 

アイドルグループHが終わった後に周囲の仲間達はフィロソフィーのダンスに流れていった。

自分もそこに追従しフィロソフィーのダンスにかなり緩やかに通うようになっていった。(基本周りのオタクを信用していたので彼らのリコメンドは無条件で受け入れていた)

 

そんな中で、興味を持ったのがメンバーの十束おとはさんだった。

彼女はやや古い価値観を持ったオタクで、見やすいアニメとしてエルフェンリートを紹介するなどといった、どう考えてもやばい発言があったり、電波ソング・エロゲに関する造詣も深く、0年代にニコ動とともに育ったオタクという感じがある(なお年齢は今以て非公開である)

また、基本オタクしかやっていないはてなブログをやっていたり自作PCを作っているところなんかにもオタクシンパシーを感じていた。

 

可愛くて面白くて、時に"異常な"アイドル十束おとはにハマっていった自分は、この子ならオタクを傷つけないんじゃないかという安心感とともに、そして同時にフィロソフィーのダンスの曲が、ライブ会場でのフロアが好きだったこともあり、ゆるくはまっていくことになる。

そして、個人的に色々あって辛い(というか大変なプレッシャーを感じていた)時期に僕がすがったのがおとはすを推しメンという枠に入れることだった。(要するに助けて!推しメン!というやつ)

 

そして、名実ともに推しメン枠に入り自分のオタク人生はフィロフィーのダンスを軸にしていればいい感じになっていた。

 

コロナ以降、特典会というかライブ自体がほぼなくなってしまったことがあったり本人がやっていたゲーム実況にあまり興味が持てなかったりして、次第に疎遠になっていってしまったが、そんなさなかの2022年に卒業が発表された。

 

元々身体が弱いこともあり、2019年4月に体調を崩して休んでいた時期に、これ以上ライブのパフォーマンスをこれ以上保つことができないので卒業を決断した。というのが大まかな理由だ。

 

danceforphilosophy.com

 

正直なところ、寂しいという気持ちはあまりなかった。むしろこれでやっと負担となっていたライブから解放されるんだなと思うとむしろ安心感すらあった。*4

 

幸いおとはすは、プロゲーマー集団に所属していたりマーベルなどの映画のコラムを書いているなど、ライブアイドル以外の活動もこなしていて、アイドル後の人生には全く心配がなかった。

後にesports関連企業に裏方として務めることも後に発表された。

 

そして、2022年の4月にはでんぱ組.incとの対バンにいき、2年と3ヶ月ぶりに対面することになった。

そのときに「久しぶりじゃん」と言われたことを忘れられない。

 

おとはすという子は歌もダンスも未経験で、社会人経験を経てからアイドルになったという特殊な経歴を持つ子だ。

歌もダンスも未経験の彼女はライブに自信がなかったのか、必ずライブが楽しかったか聞いてきたように思える。

正直、歌に関しては恐らくライブアイドル界最強レベルの2人がいるグループのなかで、独特のアニメ声を活かした歌唱はむしろいい引っかかりポイントとなっていたと思うし、ダンスだってまったく問題なくできていた。

 

しかし、やはり彼女のプレッシャーは特典会でのそういう発言に出ていたのかもしれないし、そう思うとポイントを挙げてもっとちゃんと褒めるべきだったなとも思う。

 

そんな彼女はSNSを上手に使いこなし、ブランディングや"おとはす"というキャラ作りをしていた。

独自の絵文字を作ったり、おはす~というような自分の名前と掛け合わせた挨拶を作るなど、インターネット拡散力があり真似しやすいものを編み出していったように思える。

 

SNSを通したマーケティング(というとかなり聞こえが悪いが)や関係性の構築、擬似的に1対1の関係を作ることはもはや現代において当たり前のことだが、恐らく彼女はオタクであるが故にオタクを傷つけることの重みを知っていた彼女はアイドルとして立派にそれを果たしたように思う。

認知というのもきっとその一環だったのだろうと思う。

 

実際に4月に会ったときに一瞬で自分のことを思い出した時には本当に驚いた。

去年は、4月のでんぱ組.incとの対バン、最後の全国ツアー(高松・広島)、東京ドームシティホール、TIF、生誕、そして日比谷の野外音楽堂という要所要所だけ回るようにしていた。

もうメジャーとなった彼女たちとは感染症の予防ということもあり、刑務所の面会所のような距離感でしか話すことしかできず、時間も一瞬しかなかったが、お互いに生きている姿さえ見せれればそれで充分だったようにも思える。

 

今、彼女はアイドルを卒業してesports関連企業に勤めているらしい。

アイドルという不慣れな世界を通して、本当に自分がやりたかった世界に飛び込めたこと、きっとこれはサクセスストーリーとしては最上のモノでもあると思うし、アイドルのセカンドキャリア問題を考える上でとても面白い道を示せたと思う。

 

今でも時々時間が合えば配信は覗くようにしている。

 

コメントはしていないが、恐らく彼女の中にはまだ自分という存在がどこかにしっかり居るというか、自分程度の熱意しかなかったオタクでも居させてもらえる感覚はある。

 

これがきっとソウルフードならぬ、魂(ソウル)推しメンということなんじゃないかとおもう。

 

最後に、本人に伝えそびれたことですが、好きになっても大丈夫と思わせてくれた最初のアイドルが十束おとはさんでした。ありがとうございました。(恥ずかしいセリフ禁止!)

*1:この言葉は当時の声優オタク会話では使用禁止単語でした

*2:しかし、今にして思えばあれでもまだましな方だったような気がする

*3:また、この頃は顔がいいのは声優、曲がいいのはアイドルとも言っていた、しかし今にして思えば超A&G画質と編集されまくった声優パラダイスを見て何を知ったようなことを言っていたのかとも思う。

*4:自分自身メジャー以降のフィロソフィーのダンスにうまくはまれなかったということもある